今月の少女趣味こうなあ19
目覚めた時 葉 祥明
今朝
目覚めた時
ベッドの中で
一人微笑んだ
何か良いことが
あったからでも
何か良いことが
ありそうだからでもなく
ただ、今日という日が
また与えられたことが
なんだかうれしくて
思わず微笑んだんだ
熊さん 葉 祥明さんは、千九百四十六年生まれ。熊本県出身の絵本作家。「地雷ではなく花を下さい」をはじめ、色々な絵本で多くの賞を受賞しているそうです。
虎さん そういえば昔、天理教の話を聞いたとき、お年寄りの先生がこんなようなことおっしゃってましたなあ。朝、目が覚める。
鳥の声が聞こえてくる。
ああ今日も耳が聞こえさせていただいている。
目をあける
天井が見える
ああ、今日も目を見させていただける
ゆっくりと起き上がる
ありがたい。今日も動かせていただけると
起きるだけで、三回も喜ばせていただけるのや
そう言えばあの時、熊さんえらい怒ってたやないか。
熊さん いや、怒ってたわけじゃないけど、わしらそんな事思われへんって言うてただけや。起きる時、時間との競争やで。そんな事思ってたら仕事に遅れてしまうがなと言うてたけど、年とってきたら、何もかも与えられてんねなあと思うんや。
ご隠居 そやなあ、あの天理教の老先生のようにはなかなか思えへんでも、何もかもが与えられているんやなあとは思うようになってきたなあ。
虎さん 天理教の先生のように思えて言われて、すぐに思えるぐらいやったら、苦労しませんで。なんでもそうでっけど、そうできへんからわしら悩んでますねやん。あんまり悟りきったような事言われても困りますやん。
熊さん いや、うちの会長さんはあんまり悟ったようなこと言わへんで。
虎さん いや、会長さんはもう少し悟った方がええと思う。
ご隠居 なんでやねん